日本の国力が弱くなっているのは10年以上前からはじまっていましたが、もう打つ手がないのではないかと感じています。
2002年以来20年ぶりに、1USドルが135円という円安相場となっています。
これまで日本円は、「いざというときの日本円」と言われ、大規模な内戦や戦争、世界規模の危機が起きた場合には、世界の通貨が日本円に変えられる(日本円が強い→円高)時代が長く続いていました。
ところが今回、ロシアのウクライナ侵攻が国際問題化して以降も、日本円は売られ続けました。
そして、20年ぶりの135円にまで円は安くなっています。
もはや、「いざというときの円」ではなくなっているということですね。

私は、円と同じことが日本語でも起きていると数年前から感じており、日本が世界から取り残される危機感を増しています。
例えば、これまでは、海外企業のホームページを見ると、Languageで日本語を選べることがよくありました。今はどうでしょうか。
日本語は見当たらないことも多くなりました。ビジネスの相手として、日本が考慮されていない、優先されていないということです。
一例として、GIA Japanを取り上げましょう。

アメリカの非営利法人であるGemological Institute Of America(米国宝石学会)は、ハリーウィンストンをはじめとするハイジュエラーも利用する鑑定・鑑別機関であり、教育機関でもあります。
その教育部門は、皆様御存知のGraduated Gemologist、通称G.G.の教育を行う部門でもあり、昭和から長く東京にも支部がありました。
ところが2019年、突然閉鎖されます。
収益化が難しいと判断されたため、と言われています。GIAは非営利法人ですので、収益と言われると突っ込みたくなりますが。
GIAの教育部門は、決して安価なコースではありません。G.G.のコースを日本で取ると、半年で180万円程度は必要でした。それでも「日本でビジネスをすることが見合わない」と判断されたのです。
その後、私自身がカリフォルニアのGIAに問い合わせたところ、日本人が教育コースを取るには、他国のGIAに通学するしかないと言われました。
そして他国というのは、その国の言語で授業が行われます。ですので、一番近い台湾にしよう!香港にしよう!と思っても、言語の壁が立ちはだかります。英語でさえありませんからね。
宝石業界の教育機関としてはシェアの大きいGIAに、日本人学生は切り捨てられたのです。
日本という国の影響力が下がったことは、為替による輸入商品の値上がりのみならず、日本人がサービスや教育を受ける機会さえ失うことに繋がっています。