久しぶりにダイヤモンドのお話しを。
これからしばらく、カラーダイヤモンドの世界にお付き合いください。
ここ数年、ピンクダイヤ&ブルーダイヤが、オークションを賑わせてきました。
ピンクやブルーが珍しいのは、本当です。
あまりにあちこちのオークションに出品されるので、少しマーケットが鈍化するのでは・・・というところでコロナになってしまったため、コロナが落ち着くころにはまた市場は活発になることでしょう。

CHF24,400,000-
2020/11/11/ Sotheby’s
実際のところ、ピンクダイヤやブルーダイヤよりもお目にかかることが珍しいカラーダイヤモンドと言えば、グリーンダイヤモンドです。
グリーンダイヤモンドは原石全体にグリーンがかっていることはほとんどなく、たいていは色溜まりと呼ばれる「色」の強い部分があり、色溜まりを残しつつ光の反射を考えながらカットすることが重要になります。
石のコンディションによっては色溜まりを残したり、うまく反射させるようにカットできないこともあり、グリーンダイヤモンドとしては市場に出回ることが少ないのです。
同じ理由で、特に大きなサイズのものは希少です。
さて、世界で最も美しく、大きく、そして有名なグリーンダイヤモンドと言えば、ドレスデングリーンです。

ドレスデングリーン Dresden Green は、その大きさ40.70カラット、クラリティはVS1、更に驚くことにカットグレードがVery Goodなのです。
1740年代のものと言われていますので、当時の研磨技術の高さを物語っています。
戦争に翻弄されながら世界を転々としていたドレスデングリーンダイヤモンドですが、ドイツにおさまってからの200年は、門外不出と言われていました。
そのドレスデングリーンが、来日したことがあるのです。
それは、2005年、ハリー・ウィンストン銀座店オープニングセレモニーでした。
上の画像中央で、森泉さんが着用されています。
数日間展示され、ドレスデンは離日しました。
上の画像右側は、ハリー・ウィンストン氏の息子、ロナルド・ウィンストン氏の手にのるドレスデングリーンとホープダイヤモンドです。
呪われたブルーダイヤと言われたホープダイヤモンドと、このドレスデングリーンは石の成分が非常に似ており、姉妹ダイヤモンドと表現されることがあります。

Natural Green Diamond, VS1, 40.70 cts
2019年11月、ドレスデン宮殿から100点もの美術品が盗まれる事件が発生しました。
ドレスデングリーンは、ニューヨークのメトロポリタン美術館で展示中で、この被害にあわずにすみました。
もしドレスデングリーンが被害にあっていたら、二度と私たちの目に触れるところには出てこなかったことでしょう。