宝石への投資、と聞くと、サっと無表情になる方がほとんどです。
宝石詐欺事件はセンセーショナルに取り上げられるため、記録や記憶に残ることも多いのでしょう。
マリーアントワネットの真珠の首飾り事件や、ココ山岡、フリマ通販詐欺まで、内容や金額も様々な詐欺に使われてきました。

詐欺もありますが、もちろん投資としても成立しているのが宝石です。
サザビーズやクリスティーズといったオークションハウスの落札結果を御覧ください。
オークションハウスほどのものでなくても、還流品市場で宝石は重宝されます。
大手リサイクルショップで取り扱いの様子は、ネットで簡単に御確認いただけます。

希少なものが高いのは、世の常です。
ということは、ダイヤモンドは希少性が高いのか?という質問を受けることがあります。
答えは、No です。
ダイヤモンドは、世界でもっとも流通している宝石と言っても過言ではありません。
工業用を除いたとしても、です。
こちらの財務省が公開しているグラフを御覧ください。

平成28年までのデータと少し過去のものになりますが、日本が輸入している工業用以外のダイヤモンドの量です。
一説によると、1965年から今までに、既に7500万カラットが輸入されているそうです。
これは世界一の輸入量になります。
日本だけでこの量です。
ダイヤモンドが「希少性」という面ではそれほどの強みを持っていないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
しかし、です。
希少ではないからこそダイヤモンドの強みがあるのです。

市場によく流通しているからこそ、一定の相場があり、金額の目安がつきやすいのです。
カラーダイヤモンドは希少性というマーケットにも入りますが、そこはマーケティング等別の要因もあり、カラーダイヤモンドにもそれなりの相場があります。
希少性であれば、色石の方が希少なものは多くあります。
既に採掘出来なくなっている色石は、特に希少なものです。
しかし、ダイヤモンドほどの市場性はありません。
色石は市場が固まっていないために突然の値崩れが起きる宝石が多いものですが、ダイヤモンドが一夜にして石ころになってしまう可能性はほとんどありません。
日本だけでこの55年間に既に7500万カラットも輸入されているのに、値崩れしていない、需要は途切れない。
投資のひとつとして考えるに十分なマーケットがあります。

2018年11月14日に行われたオークションで3,600万ドルで落札
楕円形のダイヤモンドは後から上部に加えられた / 写真提供:サザビーズ
コラム冒頭に登場したマリーアントワネット。
大の真珠好きとして有名であったために、首飾り事件に使われてしまいました。
そのアントワネットに愛用された宝飾品が2018年のサザビーズオークションに出品され、目玉アイテムとしてパールのペンダントトップが登場しました。
落札価格は、約36億円。サザビーズへの手数料を含めると41億円になりました。落札者は、匿名の民間人ということです。
このオークションには、アントワネットが所有していた10点のジュエリーがありました。
近いうちにこのオークションについてもコラムにまとめましょう。
※一般的なパールは投資の対象としてお勧めしておりません。