テレビ番組の影響なのか、ヴィンテージジュエリーのお問い合わせをいただくことがあります。

日本では区別なく使われがちなアンティークとヴィンテージですが、アンティークが製造から100年以上経過しているもの というWTOの定義があります。
100年以上経過しているアンティークには関税をかけない、というルールです。
といっても、それは貿易の世界の法律です。
私たちが普段目にするマーケットでは、もっと近い年代のものもアンティークとして販売されていることがあり、これも間違いとは言い切れないのが実情です。
お買い物の際には言葉にまどわされず、御自身の審美眼を優先されることをお勧めします。
このページでは、100年以上前のものも含めてヴィンテージと表記して進めます。

ヴィンテージには、今のデザインにはない素敵な加工が施されているものが多くあります。
宝石のカットだけでも、今では見られなくなったものが多くあります。
2020年の今、世界でもっとも研磨されているカットは、ダイヤモンドでは特に有名なラウンドブリリアントカットです。

1919年に開発と言われている
世界を席捲しているラウンドブリリアントカット、開発から101年がたったところです。
つまり、WTOで「アンティーク」と分類されている=製造から100年以上経過しているジュエリーに使われている宝石には、違うカットが施されているはずです。

ラウンドブリリアントカットは、数学者によって光の反射を計算し尽されたカット技法です。
光の反射が計算されているということは、キラキラに輝くカット ということになります。
制服されざる者 🔗でも取り上げたように、特にダイヤモンドは長年研磨が難しい物でした。
1919年にラウンドブリリアントカットが開発されるまでに研磨された宝石たちは、今ほどキラキラ輝く反射角は持っていなかったものの、それは控えめでありながらも不思議な魅力のある光を放つものが多くあります。
もし先祖代々受け継がれているジュエリーをお持ちでしたら、じっくり観察してみると発見があるかもしれません。

ヴィンテージジュエリーに興味を持たれる方が増えるのは、もっともです。
私たちにとってヴィンテージは、新しいデザインなのです。
チャンネルテレビや黒電話を見たことのない世代の方には、衝撃を受けるほど斬新なデザインに見えることもあります。

興味を持つ方が増えると、マーケットは加熱します。
そこで購入前に御注意いただきたいのは、ヴィンテージは壊れたら直せない場合もある、という点です。
ピラミッドが今の技術を持ってしても建設が難しいと言われているのと同様に、今では彫師がいなくなってしまった彫金技術もあります。
また、パーツの接続に髪の毛を使っているケースもあります。
取り扱いは慎重に御配慮下さい。
特に時計は、部品が調達できないことが多くあります。
時計に関しては別記事を書く予定もありますが、10年たつとパーツを廃棄してしまう有名ブランドもありますので御購入の際には慎重になることをお勧めします。
ヴィンテージジュエリーの修理でお困りのことがありましたら、御相談ください。
私どもでお力になれることがあるかもしれません。