続いては、鑑別書です。
端的に言うと「これはなんであるか」を明記したペーパーです。
天然ダイヤモンドなのか、人工ダイヤモンドなのか、パールなのか、ルビーなのか、エメラルドなのか。
鑑定書はダイヤモンドのみに発行され、しかもそのダイヤモンドの4Cが記載必須です。
鑑別書に「天然ダイヤモンド」とあっても、4Cは記載されていませんので区別は容易です。
まず、鑑定書と鑑別書 (英語で言うなら、Grading ReportとIdentification Report)を混同しているようなお店で買い物をしないよう御注意ください。

鑑別書は「これがなんであるか」を保証する書類です。
最近は合成ダイヤモンドのニュースが目に留まります。
ダイヤの世界も広がりつつありますが、色石はダイヤモンド以上に深く広い世界です。
「鉱物学」であり、今でも新しい鉱物が発見・発表されています。
そのため、鑑別機関によって強みが分かれます。
ルビーやサファイヤであれば、スイスのグベリン The Gübelin Gem Lab が有名です。
Gubelinがなぜルビーとサファイヤに強いのかは、この鑑別機関の生い立ちから説明する必要があるので今回は割愛しますが、その産地特定には定評があります。

サザビーズやクリスティーズは、スイスのSSEF Schweizerische Stiftung fur Edelstein-Forschung の鑑別書を利用することもあります。
下のブルーサファイヤのリングは、グベリンとSSEF両方のレポートが付いて、サザビーズに出品されています。

エメラルドやアクアマリンといったベリル系のレポートに強いとされているのが、NYに本社を置くAGL American Gemological Laboratories です。
NYに本社のあるジュエラーや大手オークションハウスで扱われる大粒石にこちらのレポートがついていることが多く見られます。

エメラルドとアクアマリンは、親戚のような構造です。これも別途コラムにしますのでお待ちください。
GRSに触れずに鑑別書の項目を〆るわけにはいきません。
Gem Research Swiss Lab、通称GRSは、タイやスリランカといった色石の産地にもオフィスがあり、世界のハブである香港でも受付が出来ることから、利用しているジュエラーも多い鑑別機関です。
鑑定書と鑑別書について、2回に渡り駆け足で説明しました。
とても十分ではありません。
それでも、2つのレポートの違い、どの鑑定鑑別機関が著名なのか が少しでもおわかりいただけたのではないでしょうか。
そして、鑑定鑑別機関について興味を持っていただければ嬉しいです。
興味を持つことから、知識は広がります。
知ろうとすればするほど、「どこで買うか」「誰から買うか」が重要であることもおわかりいただけると思います。
御心配な点や不安なことがありましたら、いつでも御相談ください。
ハンコを押す前に、クリックする前に、どうか私どもへ御連絡を!
幸せな気持ちだけでジュエリーは選んでいただきたいのです。
